オリジナル・コントロールボックスを作ろう!


ここでは、自作コントロールボックスを作る際に参考にした資料と、
自分が作成するにあたってどのように考えて作成したか?などを紹介します。

JAMMA規格を知ろう!!
JAMMA規格とは、(社)日本アミューズメントマシン工業組合が1986年に提案した
規格で、それ以前は基板と筐体をつなぐハーネスの規格はバラバラでした。
これでは、オペレーターに手間をかけてしまうので、業界内で統一しましょう!
ということでJAMMA規格が生まれました。
1986年以降に発売された基板のほとんどが、JAMMA規格によるものなので、
JAMMA規格に沿ってJAMMAハーネスに対応したコントロールボックスを作れば
大体のゲームは遊ぶことができます。
1986以前の基板でも、配線が違うだけなので、JAMMAハーネスへと変換する
変換ハーネスを作れば遊ぶ事が出来ます。
【MODEL2やNAOMIは、最近の基板のクセにJAMMA規格にそってないです(T_T)】
まず、JAMMAハーネスの配線は以下のようになっています。
56ピンのコネクターを使用します。
1←−−−−−−−−−−−−→28
半田面
部品面
GND  1 GND
GND  2 GND
+5V  3 +5V
+5V  4 +5V
(−5V)  5 (−5V)
+12V  6 +12V
   7  
N.C.(未接続)  8 コインカウンター
コインロックアウト2  9 コインロックアウト1
スピーカー(−) 10 スピーカー(+)
N.C.(未接続) 11 N.C.(未接続)
ビデオ GREEN 12 ビデオ RED
ビデオ CSYNC 13 ビデオ BLUE
サービススイッチ 14 ビデオ GND
N.C.(未接続) 15 テストスイッチ
コインスイッチ2 16 コインスイッチ1
2P START 17 1P START
2P UP 18 1P UP
2P DOWN 19 1P DOWN
2P LEFT 20 1P LEFT
2P RIGHT 21 1P RIGHT
2P SHOT1 22 1P SHOT1
2P SHOT2 23 1P SHOT2
2P SHOT3 24 1P SHOT3
N.C.(2P SHOT4) 25 N.C.(1P SHOT4)
N.C.(2P SHOT5) 26 N.C.(1P SHOT5)
GND 27 GND
GND 28 GND
半田面は、基板の部品が半田付けされている側。
部品面はROMなどが配置している側です。
H・7番の空白部分は、基板のカードエッジに切り欠きがあります。
c・d・25・26は本来N.C.ですが、NEO−GEOの4ボタンやMODEL2などでは
使用されています。必要がある方は、この配線も覚えておきましょう。

電源を用意しよう!!
さて、基板はもちろん電気を流す事で動作します。
必要な電圧は、JAMMA規格を見てわかるとおり、+5V・+12V・(−5V)です。
−5Vは一部の基板で必要ですが、最近のゲームにはほとんど必要ないです。
私の所有基板では、「カンガルー」のような古い基板で必要です。
これらの電圧を出力する電源は、パソコン用の電源ユニットが使えます。
一つ注意が必要なのは、A(アンペア・電流値)です。
大体の基板は、+5V:7A〜で動作しますが、MODEL2のようなカスタムチップが多く、消費電力が高いものでは12A〜15Aが必要になります。
+12Vは1.5A、−5Vは0.1Aあれば十分です。

モニターへの接続を考えよう!!
電源を用意して、基板に電気を流せる様になっても、画面が映らなければだめですね。
次に、画面出力を考えましょう。
必要なのは、N・P・12・13・14のG・CSYNC・R・B・GNDです。
これだけの配線ですとDIN5ピンあたりのコネクタからモニターへと
つなぐようにすれば良いですね。
ただし・・・これは、業務用モニターの場合です。
私が使用しているCZ−612DのようなパソコンモニターはSYNC信号を
水平同期・垂直同期に分離してやる必要があります。
基板から出ているSYSC信号は、複合同期といって水平・垂直が混ざった状態です。
複合同期の分離には、LM1881NというICを使えば簡単に行えます。
このICは、動作に+5Vの電源を必要とします。
幸い、基板に必要な電源電圧として+5Vが出ているのでこれも一緒にコネクタから
出力すれば、同期信号分離回路を経由させる事が出来ます。
(同期信号分離回路をコントロールボックスに内蔵してもOKです)
こうなると、DIN5ピンでは1ピン足りません。
そこで、DIN8ピンを使用することにしました。
理由は、DIN8ピンはメガドライブで使用されており、メガドライブと同じ配線内容にすればメガドライブのRGBケーブルがコントロールボックスで使用できるからです。
と、言うことで、以下の配列にしたがって配線することにしました。

2:黒=GND
4:黄=+5V
5:緑=GREEN
6:青=BLUE
7:赤=RED
8:灰=CSYNC

コントローラーをつなごう!!
次に、画面が映っても、操作できなきゃ遊べません。
と、言うことでコントローラーの配線を考えます。
T〜eと16〜27のコントローラー用の線を配線すればコントローラーポートを
作れますね。その他、CPS2等の6ボタンゲームも考えてSHOT6も作りましょう。
1プレイヤーに対し、全部で13本配線すればいいわけです。
私は、入手が容易なD−Sub15ピン(2列)を使用しました。
このピンを使えば、NEO−GEOコントローラー互換で作れます。
(シグマ電子のΣ8000TBも互換性あり)
各ピンの配線は以下の通りです。
GND   2 SHOT6   3 スタート  4 SHOT4   5 SHOT2   6  右  7 +5V
   9 N.C.   10 SHOT5  11 コイン   12 SHOT3   13 SHOT1 14  左 15  
8ピンの+5Vは必要ないですが、連射装置などをつけたいときに活用できます。

音を出そう!!
さぁ、ここまでくれば、基板を動かし画面に映して操作する事が出来ますね。
しかし、音がないとさびしいです。
音を出しましょう!
JAMMA規格では、モノラルサウンドしか出ませんが、CPS2などステレオサウンドを
出力できる基板も増えてきました。
各社によって、ステレオサウンド出力のコネクター形状などに違いはありますが、
せっかくのステレオサウンドです。アンプを通してステレオで聞きたいですね?
アンプは、ラジカセやコンポでもいいですし、格安のICを使って自作するのもいいでしょう。
しかし、JAMMAからのサウンドを接続した状態で別出力のステレオ出力まで使用すると
基板に負荷がかかって故障しやすくなるそうなので、JAMMAからのサウンドを無接続
状態に出来るようにスイッチをつけたほうが良いでしょう。
私の場合、RCA(ピンプラグ)ジャックを取りつけ、JAMMAサウンドとRCAによる別出力のサウンドを切りかえられるようにトグルスイッチをつけました。
また、アンプは秋月電商のヘッドフォンアンプキット(¥400)を使用しました。
※通常、基板のJAMMAサウンドは、基板上のボリュームを操作する事で
ボリューム調整が出来ます。音が小さいと思ったら、基板のボリュームを操作しましょう。

付加機能をつけよう!!
以上で、電源・画面出力・コントローラー・サウンドと一通りゲームが遊べる様に
設計図が出来てきたと思います。
しかし、もう一つ忘れてならないのが、テストスイッチとサービススイッチです。
ゲームのテスト画面に入ってゲーム設定を変えるのに必要です。
サービススイッチは、セガ系のゲーム基板などではテストの操作に必要になります。
これらは、プッシュスイッチを使用すればいいでしょう。
JAMMAハーネスに直接プッシュスイッチをつけてもいいですし、
自作コントロールボックスに内蔵するのも良いでしょう。

さぁ、設計だ!!
以上の準備を整えたら、後は設計です。
電源ボックスに入力する100V(家庭用電源ですね)をどのように
電源ボックスにいれるか?
電源ボックスから出力される電源をどうやって基板に供給するか?
RGB出力はどこにつけようか?
コントローラーポートはどこにつけようか?
サウンドの切り替えスイッチやアンプはどうしようか?
テスト・サービススイッチはどこにつけようか?
コントロールボックス自体の電源ON/OFFはどうしたものか?
これらをまとめて、用意した部品を元に配置を考えていきます。
ここで、悩むのが「基板へつけるJAMMAハーネスってコントロールボックスから直出しにするか?着脱可能にするか?どうしよう????」ってところです。
基本的にハーネスを取りかえるような事はないのでコントロールボックスから直出しでも
いいのですが、メンテナンス性を考えると着脱可能にしたほうがよいですね。
では、着脱可能にするにはどうしたら良いか?!
これは、各社で販売されているコントロールボックスを見習い
【カードエッジコネクタ】を使用することにしましょう。
幸い、各社から発売されているコネクタに互換性のあるカードエッジコネクタが
基板屋さんで売られています。
36ピン、44ピン、56ピンと種類がありますが、主流は36ピンです。
理由は、JAMMA規格を見ればわかりますが、56ピンフルに使っていないので
36ピンあれば収まってしまうからです。
私の場合は、以前所有していたCOMBO AVとの互換性を考えて36ピンにしました。
この場合、本来のJAMMAでは対応していないSHOT4〜6が配線できないため
別途拡張ポートが必要になります。
拡張ポートが嫌な方は44ピンを使うのが良いでしょう。
私の場合、36ピンに以下のように配線しました。
GND  1 GND
GND  2 GND
テスト  3 サービス
サウンド(+)  4 サウンド(−)
+12V  5 +12V
−5V  6 −5V
1P SHOT3  7 1P UP
2P SHOT3  8 2P UP
+5V  9 +5V
1P DOWN 10 1P SHOT2
2P DOWN 11 1P SHOT2
コインスイッチ2 12 2P START
コインスイッチ1 13 1P START
1P SHOT1 14 1P RIGHT
ビデオ RED 15 1P LEFT
2P RIGHT 16 ビデオ BLUE
2P LEFT 17 ビデオ GREEN
2P SHOT1 18 ビデオ CSYNC
上記配線は、COMBO AVの配線を参考にしていますが、COMBO AVには
テストとサービススイッチがなかったので、3・Cは本来GNDだったものを
テスト・サービススイッチに割り当てました。
補足:拡張ポートについて
36ピンコネクタでは、SHOT4〜6が配線されていませんね?
コントローラーポートのSHOT4〜6に配線するためには拡張ポートを作りましょう。
これには、1P・2Pのボタン6つと各GNDの計8個のポートが必要になります。
8ピンのコネクタからコントローラーポートへ接続できるようにすればいいのです。
このとき、JAMMAのSHOT4・5もこちらのポートへ接続するように加工しましょう。
私の場合、これまたCOMBO AV互換で
JST10ピンコネクタを使ってポートを作りました。
ポートの配線は以下のようなっています。
GND GND 1P SHOT4 1P SHOT5 1P SHOT6
N.C. 2P SHOT4 2P SHOT5 2P SHOT6 10 N.C.

コントローラーを作ろう!!
さぁ、設計図を作り、配線を行えばコントロールボックスの完成です。
それでは、ゲームを遊ぶためのコントローラーを作りましょう!
NEO−GEO互換なのでNEO−GEOコントローラーが使えますが、
ストIIシリーズのような6ボタンゲームを遊ぶにはボタンが2つ足りません。
コントローラーの選択肢としては、
【家庭用ゲーム機のスティックを流用する。】
【Σ8000TBを買う。】
【パーツを集めて自作する。】
等がありますが、ここでは、中古で安価に入手できる
家庭用ゲーム機のスティックを使いましょう。
作業は簡単。
家庭用スティックの裏ぶた(カバー)を開ける。
コントローラーポートと同じように配線をする。
スティックにD−Sub15ピンのコネクタをつける。
以上です。
参考のため、私が加工したスティックの内部はこのようになっています。

さぁ、ここまで出来れば完成ですね!!
楽しい基板ライフを満喫しましょう!!